2013年5月27日月曜日

「蝶獣戯譚II」最終回

1915

今号をもちまして「コミック乱」での「蝶獣戯譚II」はいったん〆させていただきます。

力の限りを尽くして描ききってきたつもりだったのですが、こういう結果になってしまいました。

応援して下さっていた読者様には本当に申し訳なく・・・

私の力のなさを痛感した次第でもありますが、割り切れない部分もそれなりにあったりもします。

 

元々、廃刊(休刊?)となった「週刊コミックバンチ」で連載されていたもので、それを拾っていただいたのが乱です。

移籍連載という枷もありましたし、一話読みきりの多い乱誌上では異色の作品だったようにも思います。

乱の読者層に受け入れられていたのかどうか、未だによくわかりませんし、ともかく単行本の存在すら「わからなかった」と言われるくらい、話題にも上りにくかったのだろうなと。

特にバンチからの読者の方の一人からは「続いてたの知らなかった」とも言われました。

 

この「蝶獣戯譚」という作品は私のキャリアにおいてのターニングポイントになった作品でもありますし、そういい加減に終わらせるわけにはやはり行きません。

スペリオールで連載している「SILENCER」とともに、ようやく私の「名刺」となる作品だったのです。

 

「Tenkafubu 信長」も「トキ外伝」も、それこそ身を削って描いた作品ではあります。

ですが「名刺」と言われるとちょっと違います。

今のところ私の代表作は週マガ連載の「信長」というのはそうなのですが、私は「信長」が私のテイストだとも思っておりませんし、連載デビュー作が代表作というのも正直悔しいのです。

まだ自分が未熟だった頃の作品ですし、後悔の無いほどちゃんと描いたかと言われれば、正直後悔ありまくりですね・・・

当時の担当さんには本当に迷惑かけっぱなしでした。

ただ漫画家としての土台を作ってくれた作品であることには変わりが無く、私は「週刊少年マガジン」とこの「信長」という作品に育てられてきたので、そういう意味では今でもこの作品を連載させて下さったと言うことに対して感謝のしようがありません。

 

ただ、ですね・・・私自身、歴史は好きなのですが、「戦国時代」にそれほど愛着があるかと言われれば、実は違います。

私にとって戦国時代という、太陽のぎらぎら輝いていた時代の男達は、描くにはまぶしすぎるのですよ・・・

どちらかというとドロドロとした暗めの世界観が好きなのは、蝶獣を読んで下さっている読者様ならおわかりかと思われます。

 

「トキ外伝」に関してもいわずもがな・・・

元々「北斗の拳」という名作にのっかって始まったスピンオフですから。

確かに「トキ外伝良かったです」などのメッセージを頂けたのは嬉しいには違いないのですが、ただ「トキ外伝」を好きな読者様にとって、私はあくまで「トキ外伝の人」であって、作家「ながてゆか」ではないわけです。

もちろん描いているときは「北斗の拳」という作品に対するリスペクトを込めて、全身全霊で描きました。

私もいったん漫画家をやめた身でしたし、復帰するためのきっかけを作ってくれた作品でもあります。おかげで今の私にもつながっているわけです。

それでも私の「代表作」ではありません。

正直、胸を張って「私が描きました」とは言いたくない。

 

結局、自分の好きな作品じゃないとダメなのだと思います。

蝶獣が始まる前に描いた「やいばのした」という作品で、ようやくそれができたように思います。

自分の描きたいモノと、受け入れてくれるもののピントが合った、そう感じたものです。

それが連載になったときのうれしさはやはり語り尽くせません。

故に、確かにバンチにはお世話になりましたが、会社の都合で休刊になってしまったときの憤りは今でも忘れません。

 

そんなわけで、蝶獣は私にとってもかなり特別であり、重要な作品です。

きっちりと終わらせてけじめをつけるつもりでも居ますし、そうでなければ作品も、そしてキャラ達もかわいそうですので。

何より楽しみに読んで下さっている読者様には申し訳ない気持ちでいっぱいです。

幸いにも、ついて下さる読者の方も居て下さるのが救いです・・・

ですので、どれくらい先になるかはわかりませんが、ちゃんと終わらせるつもりです。

 

ただ単行本の五巻の売れ行きによってはまだ「乱」での復活の日の目がないとも言えないわけでして・・・

ですので自分では今後も作品のためのリサーチは続けるつもりです。

今回、こういう終わり方をしたのも第三部が始まることを見越した上でのことです。

中途半端と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、もしそうだとしたら申し訳ありません。

 

 

担当さんは良くやってくれたと思いますし、色々とゴタゴタがあったときに編集長も直々に仕事場に来て下さいました。

この辺は非常に誠意を感じましたし、そこそこ居心地も良かったのも確かです。

とにかくこれからは時間もできますし、自分で動ける限りは動いてみようかとも思っております。

 

まずはやれることからやってみようかと・・・

よろしくお願いいたします。

 

ながて